若手SEの生き様

クサカンシのブログ

クサカンシとは好奇心とプレッシャーの狭間で学び続ける者、、そう拙者でござる!

【読書感想&学び】AIをビジネスに実装する方法

Kindle端末を手にしてから、読書ライフが豊かになりました。

省スペースかつバックライト付き。そして軽い。これだけでいつでも読書できます。

超おすすめ。

 

さて、「AIをビジネスに実装する方法」という書籍を読んでみましたので、

感想と自分なりに学びになったことをメモ代わりに記載していきます。

 

 

感想

自分の勉強不足を再認識しました。

もはやAIを漠然と捉えていい時代は終わっていたんだと。

 

著者はシリコンバレーで過ごし、機械学習の発展を肌で感じていました。

そして「日本の産業は、AIで一気に変わる」と確信していました。

僕もこの本を読み終え、著者と同じくAI導入が日本の産業を変革すると確信しました。

 

僕が実現したい未来はブラックな労働環境で新人が潰されることがなくなること。

今まさに、人手不足だからといって新人に難易度の高い仕事をいきなりおしつけ、上司・先輩も忙しいからとまともに教育できない、という状況におかれて潰される新人が後を絶たない状況になっています。

(僕の知人にもつらい環境に身を置いている方がいます)

 

突然すべてを変革することはできないけれど、「業界>業種>業務」とポイントを絞り込んで、徐々にAI導入の可能性を探り、広めていく活動が重要だと感じました。

 

こういった希望がもてるきっかけを作ったヒントン教授は超リスペクト。

ほんと、ありがとう。未来はまだまだ切り開きがいがありそうだ。

各章における個人的な学び 

1章:なぜ、いまだにAI導入を躊躇するのか

この章は漠然としたAIとはなんぞや、から話が始まるので、「AIとはなんぞや」状態の人がこの本に入りやすいようになっていました。僕もその一人です。

・2012年の画像認識コンテストでディープラーニングによる画像認識率が従来のSVMよりも大幅に向上した結果を残し、ディープラーニングが注目を集めるようになった。

 

・膨大な中間層のあるニューラルネットワークの計算はCPUでは時間がかかりすぎるため、GPUが利用されるようになった。

 

・「IoT・ビッグデータ・AI」は三位一体で考える必要があり、AI導入の構造はデータの収集にはIoTを用いて、解析にはビッグデータとAIを用いる。そしてその結果をIoT側に返すことで、ソリューションを実現する。

f:id:MasakiMN:20181220104514p:plain

ディープラーニングに必要なデータが揃っている企業は少なく、導入できていな現状があるが、データの収集はIoTの導入により実現される。

2章:ネコでもわかる ディープラーニングの原理

この章ではAIの分類を具体的な技術ワードを用いて説明してくれています。

また、重要な仕組みは超わかりやすいマンガと図解で理解を補助してくれました。

まさに「ネコでもわかる」。僕でもわかる内容でした。

・AIの分類には「強いAI・弱いAI」、「汎用型AI・特化型AI」の曖昧な枠組みがあるが、これらは「AI=ドラえもん」のようなイメージをする人が存在するために作られた言葉である。現状のAIは弱いAI、特化型AIであり、今の研究の先に強いAI、汎用型AIは誕生しない。

 

機械学習はAI技術の一部分であり、ざっくりした分類は図の通り。

f:id:MasakiMN:20181220094023p:plain

ニューラルネットワークの活用により、旧来の手動による学習が自動化されるようになった。その結果、特徴量を膨大に抽出可能になり、認識の精度が飛躍的に向上した。また、判断に誤りがあった場合、バックプロパゲーションにより、中間層を再度自動で調整を行うため、認識率をさらに向上させることができる。

3章:AIの導入前に知っておきたいこと

この章では、どちらかというと業務目線での話になりました。

AI導入を考える際の視点や前提になる知識、体制を例を用いて解説してくれています。

僕も業務目線と技術目線の知識を兼ね合わせて、顧客に訴求できる人材になりたい。

・AI導入において、よく考えなければならないポイントとして「ROI(投資対効果)」 の視点がある。AI導入のゴールは、企業の利益構造が改善され収益性が向上することにあるが、業務におけるボトルネックの分析がきちんと行われていない場合、AI導入の効果が得れれない場合がある。

 

・業務のボトルネックを分析する観点として、「人が介在する」「忍耐が必要」「正確な判断が必要」がある。AIの得意なことは「大量の情報を正確に、かつ高速に判断する」ことなので、これらを現状人に任せているのならばAI導入の効果が期待できる。

 

・AIの導入には「大量の学習のためのデータ」が必要になるが、それが用意できていない企業が多い。厳密にいうとこれまでの業務で蓄積されたデータはあるが、AIに投入できる形になっていないことがほとんどである。AIを用いるにははJSONXMLなどの構造化データが望ましいが、情報リテラシーが低い場合、PDFやTXT、MP3などの場合がある。

 

・非構造化データは定量的な情報としてコンピュータで扱うことはできないが、ディープラーニングによって構造化データへの自動変換が可能になってきている(日々方法論が研究されている)。

 

・目的によって導入するサービス体系は異なり、サービス体系によって求められる社内の体制も異なる。

f:id:MasakiMN:20181220180716p:plain

 

・AI導入の契約

料金体系は月額制が多い。契約面は「AI・データ契約ガイドライン検討会」(経済産業省)で検討が進んでいる。成果物の権利の帰属は「RAWデータは企業のもの」「教師データへの変換などのノウハウはAI企業に帰属」となる。

4章:データ取得から学習、デプロイ、運営まで

この章では具体的なAI導入プロセスについて順を追って説明しています。

この章における、最大の学びは「ディープラーニングの闇」 と称された導入プロセスにおける潜在的な課題が解説されていることです。

実際に導入した実績がある著者だからこその観点だと思いました。

・PaaSの場合、AIを導入するためのプロセスは大まかに5段階になっている。さらに詳細化すると9段階のプロセスになる。(SaaSは導入と同時に使えることがほとんど)

f:id:MasakiMN:20181221100026p:plain

 

・取得~学習まででモデルの構築を行う。取得~学習の大まかな流れは、判断したい事象に適したデータの取得し、データフォーマットの整形を行う。このようにして溜めたデータに対してタグ付け(アノテーション)を行う。

 

・タグ付け(アノテーション)の作業はデータに対して正当を与える作業である。例えば「犬の画像に犬タグをつける」といった作業になるた。これは今まで手入力で作業を行っていたが、AI企業にはこの作業を自動化および支援するツールを用意している場合があるので、その用意があるAI企業を選ぶとよい。また、何十万というデータにタグ付けをする手作業が発生する場合は、バイトを雇う予算を確保したほうが良い。

 

・特定のデータのみを学習に用いると「過学習」なモデルとなることがある。これは学習に用いられたデータに特化したモデルとなってしまい、正常な判断が行えなくなるケースがある。

 

・実運用が始まった後、環境や扱う情報が変わった際には、再学習が必要となるケースがある。要は導入時に作成したモデルでは現状の業務で扱っている情報の判断ができなくなってしまうことがある。その場合はデータを取得しなおして再学習を行うか、モデルを刷新する必要がある。

 

・AI企業は導入プロセスの取得~デプロイの途中までしか受け持たないケースがほとんど。運用に自信のない企業は、運用も対応してくれるAI企業を探すとよい。

 

・各行程で待ち受ける闇(黒背景のエリア)は以下の通り。

f:id:MasakiMN:20181221122254p:plain

ディープラーニングの機能の所在は運用面の考慮から、基本的にクラウドに配置される。ただし、通信による0コンマn秒のラグが現場業務や利益構造に大きな影響を与える場合は、エッジ(現場)側の機械に配置されることもある。

5章:AIを導入した企業のビフォー&アフター

この章では著者が代表を務める企業のAI導入実例 が紹介されています。

現状と課題、目標設定と結果が記載されており、具体的な業務イメージの中でAI導入の方法論を学べました。

ここの事例では顧客にAIを「問題解決の手段」として見る目があるからこそ、うまくいったと思います。世の中的にはAIを「よしなにしてくれる魔法」のように見る目の方が多いため、正直ここまで上手くいくのは稀な気がします。

 

・ある小売では実店舗での顧客行動や年齢層の情報が取得できておらず、ファクトベースの議論ができていなかった。ここに次の機能をもったSaaSのツールを提供した。

 1.来店人数

 2.年齢・性別の推定

 3.導線分析

 4.1~3の情報と既存データを連携させた解析結果参照用のダッシュボード

 

・ある部品メーカーでは最後の検品作業が人による目視確認だった。これをAIにより判断することとしたが、欠損部品の発生率は0.02%ほどであり、またバリエーションも無数にあるためデータの取得が難しかった。そこでAutoEncoderを利用し、大量の正常部品のデータでモデルを作成し、正常ではないものをはじくようにした。

 

・ある建機メーカーでは建機の操作の腕前がベテランと初級者で大きく違うことを問題としていた。そこで上級者の操作手順をデータ化し、そのデータをもとにディープラーニングを行うことで上級者の操作をモデル化しました。これにより、初級者が建機を操作した際、上級者のモデル入った場合は上級者の動きに沿ったセミオートモードに移行する仕組みを実現しました。これにより初級者も実践レベルで活躍することが可能となりました。

6章:画像、音声、テキストが新しいビジネスを生む

この章では、モグラくんとミツバチちゃんの会話形式での解説でしたので、QAのような形で、理由や目的がわかりやすく頭に入りました。

ディープラーニングの登場で非構造化データ(画像、動画、音声、テキストなど)を活用できるようになった。

 

・ソリューションの発想方法には「トップダウン」「ボトムアップ」があり、これらをうまく結びつけることが重要。

例)こんなことするためには何が必要か:トップダウン

  うちにあるこんな画像データでなにかできないか:ボトムアップ

 

・画像認識で必要な解像度は人間が認識可能なレベルでよい。人間が見てわかるものはAIで代替可能。

7章:レバレッジ・ポイントにAIの力を注ぎ込む

この章では技術的な話ではなく、AIをどう活用すべきか、AI時代に求められる人物像はどういったものかを語ってくれています。

技術が時代を作って、今は時代の転換期にいるということを感じさせてくれました。

・ビジネスにおいては、顧客のニーズを満たすことに焦点を当てる必要がある。例えば、体重計メーカーは優れた体重計を作ることにこだわりすぎず、顧客が健康管理の目的で体重計を購入していることを忘れてはいけない。

 

・今後「学習工場」と呼ばれる実験データをとることを目的とした施設・設備を設けることでデータの収集ペースをあげることができる。これで得たRAWデータや教師データやモデルをライブラリ化して共有したり、他社へ販売することが可能になってくる。

 

・AIは完璧な存在ではない。AIは帰納法的アプローチである「統計的機械学習」を用いているため、精度が100%になることはない。

 

・人間よりAIの方が精度が高いことは間違いないが、AIのミスをする可能性を0にすることはできない。

 

・AIの導入箇所はAIによるミスを許容できるかが重要な観点になる。例えば人命が関わる判断などはAIに任せきりにしないなどの工夫や、及第点が求められる。

 

・AIを導入するにあたって、技術者は倫理観を身につける必要がある。法整備には時間がかかり、これを待っていると発展の機会を逃すかもしれない。そこで、技術者自身が倫理観を身につけることで、危険なモノを作らないように努めなければならない。

 

★これで終わりです。読んでいただき、ありがとうございました★